薄ら怖い本

こんにちは。「あひる シンプルライフ」管理人で、図書館司書のkorino です。

おばけより人間がこわい、そう思わせる「薄ら怖い本」をご紹介します。

川端康成「みずうみ」

言わずと知れた近現代文学の巨匠・川端康成のまさかのストーカー小説。

主人公の桃井銀平の目線と思考を通して、筆者本人の女性に対する執拗で精緻な愛着を垣間見るような作品です。

女性視点で一見すると「ただの気色悪い変態ストーカー男の物語」ですが、よく読むと登場人物たちは少しずつ奇妙に繋がっており、まるで円の中をそれぞれが小さく呼応しながら循環しているようです。

自身の過去にも肉体にもコンプレックスを持つ銀平は、好みの美女を見かけるとふらふらと後を追う癖があるのですが、それはきっと自分が持ちえない「形の美しさ」への憧れと「内面化できない(からこそそうしたいと願う)清らかさ」への切実な希求なのだと思います。

男性読者であれば「まあわからないでもない」作品かもしれませんが、やはり女性読者の多くは「ストーカー犯罪って最近では割とメジャーだけど、昔からキモ男は存在してたのねぇ~、キモチワルッ!」となってしまう作品でしょう。

読み進めるうちに、「川端康成ってノーベル文学賞を受賞してる文豪だけど、実は相当変態だったんじゃないの・・・?」などと思ってしまいます。

「雪国」「伊豆の踊子」などの美しい生粋の純文学もいいですが、「巨匠と言えど、所詮は人間(欲望からは自由になれないのだな~)」と思わせてくれる小説も、怖いもの見たさという意味ではたまにはいいものです。

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小川洋子「沈黙博物館」

映画化もされ話題になった「博士の愛した数式」の作者小川洋子さんの、「妊娠カレンダー」「薬指の標本」に次ぐちょっと怖い小説。

タイトルからして、「どんな博物館なの?」と疑問が膨らみます。

奇妙な形見を収集・収蔵する博物館を舞台に、モノクロームのような静けさと、そこはかとない不穏な世界観で物語が綴られています。

「メンヘラ気分になる本」でご紹介した岩井志麻子さんの小説が、湿度の高い怖さを持っているのだとしたら、小川洋子さんの小説は乾いた怖さを持つ小説なのではないでしょうか。

土着的恐怖を描く岩井さんの作品とは対照的な、少し西洋風のカラリとした雰囲気の怖さを感じさせる小川さんの作品は、「ちょっと怖いけどやっぱり見てみたい」気持ちを刺激するような感じです。

鬱蒼とした森の中に佇む沈黙博物館。そこに雇われた主人公の謎めいた技師。博物館の持ち主である100歳近い老婆と、彼らを取り巻く人々。博物館に収められる生々し過ぎる展示品の数々。村で起こる連続殺人事件・・・。

博物館とは、「記憶」を遺(のこ)し「記録」を形として留めておく役割を担っている場所であり、そのための保管機関でもありますが、この沈黙博物館は最も限定的で禍々しく、そして村の象徴であるかのように機能しています。

「村に住む人のための博物館」ではなく、「博物館のために村人が存在している」かのように。

外界からゆるやかに遮断されていくように登場人物たちと村の時間が閉ざされていく様子は、無声映画を見ているみたいな不穏な感覚と胸騒ぎをもたらします。

曇天の日にゆったりしたソファなどに腰掛けてじっくり読めば、じわじわとした怖さと不思議さを体験できるような一冊です。

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