メンヘラ気分になる本

こんにちは。「あひる シンプルライフ」管理人で、図書館司書のkorino です。

読むうちに、だんだんダークな精神世界に引きずり込まれる「メンヘラ気分になる本」をご紹介します。

太宰治「人間失格」

裕福な家に生まれ、数々の作品をこの世に生み出すものの、望んだ地位や生活に恵まれず不遇を生きた太宰治。

この小説には、4度もの自殺未遂を繰り返した作者(5度目で心中が成功してしまいました)の苦しい精神世界が反映されているかのよう。

もがいても浮上できない焦燥と苦悩が、重く暗い空気となって行間から立ち上ってくるような作品です。

主人公・大葉葉蔵を通して、太宰治の「自分と世界の在り方や価値観とが乖離する不条理さ」や「そこから生まれる破滅的で退廃的な行動や絶望的世界観」がこれでもかというくらいに綴られています。

読み進めるうちに、葉蔵(太宰)のみならず自分自身の暗く汚い内面を文章化して晒しものにされているようで、ここまで徹底的に人間の暗部にスポットライトを当てるのかと空恐ろしくすらなります。

ですが自身の内側にもこれらのダークな感情や感覚を抱いている人であれば、目を逸らしたい気持ちになりつつも、最後まで読まずにはいられないでしょう。

読後感は決して良いものではなく、最後まで主人公は日の当たらない場所で浮かばれない生活を送るのですが、それでも彼の人生がどういう軌跡を辿るのか見届けたくなります。

こんなにも徹底した心情の観察とそれを突き詰めて作品にした太宰治は、弱く繊細で、けれど作家としてしか生きられなかった純粋な人であったのだろうと思います。

「人間失格」は新潮文庫版だけでも累計発行部数が600万部を突破している(昭和27年刊行)超ロング&ベストセラーの傑作です。

太宰治は芥川賞受賞を熱望し続け、結局それは生涯叶うことはなかったのですが、それでもこれだけ多くの人の心を惹き付け今日でも絶大な存在感を持って読まれ続けている事実は、賞が与える以上の名誉と事実を物語っているのだと思います。

太宰治がこの世に遺した数々の作品の中でも最高傑作であり、真骨頂と言える「人間失格」。

読み終わった時には、「とりあえず明るいところに行きたい・・・」という気持ちになるくらい、どっぷりメンヘラ気分を味わえる一冊です。

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岩井志麻子「瞽女(ごぜ)の啼く家」

表紙イラストの不気味さが、「看板に偽りなし」の作品。

不吉で不穏な空気感は読み進めるごとに濃度を増し、ひたひたと迫る薄気味悪い感覚が結末への期待を否応なしに高めていきます。

明治時代の岡山で、光のない世界に暮らす女性たち。視覚という肉体感覚の一部を持たない彼女たちは、その代替物であるかのように不思議な力を持っています。

盲目の女性たちが集団で暮らす屋敷(瞽女屋敷)という設定だけでも非日常的ですが、話が進むうちに少しずつ明らかになるタブーと、さらなる気持ち悪さに思い切り惹き込まれていきます。

「なる本」シリーズの「薄ら怖い本」でご紹介しようかとも思いましたが、「薄ら」ではなく「かなり」怖いと思い、こちらにしました(メンヘラ気分ですが)。

語りかけてくるようなこの小説を読んでいるうちに、自分が明治時代の岡山の、古く不吉な因習の只中に身を置いているような倒錯した気分になってきます。

本作同様に不気味さ炸裂の表紙イラストで飾られる「ぼっけえ、きょうてえ」「鐵道心中(てつどうしんじゅう)」「魔羅節(まらぶし)」など、岩井志麻子さんの物語は独特のもの悲しさと性に取り憑かれた者たちが見せる気色の悪さが交錯し、確実に非日常の世界を垣間見せてくれます。

弱者ゆえに他者から性的客体として消費される生と性がある事実とその禍々しさを、フィクションとは言え否が応でも見せつけられます。

岩井志麻子さんの頭の中と精神世界って、一体どうなってるんだろ・・・と怖くなってきます。

こんな世界を小説にしてしまうなんて、岩井志麻子さんが恐ろし過ぎる!

小説世界の中でゆるやかに堕ちていく感覚を味わえる、土俗的恐怖感が満載の物語です。

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