誰かの恋を応援したくなる本

こんにちは。「あひる シンプルライフ」管理人で、図書館司書のkorino です。

フィクションなのに、思わず2人の両想いを願ってしまう「誰かの恋を応援したくなる本」をご紹介します。

柊サナカ「谷中レトロカメラ店の謎日和」

カメラを題材に繰り広げられる、全7章の短編日常ミステリー。

宝島社文庫 『このミステリーがすごい!』大賞シリーズの中の1作品です。

カメラ一筋のレトロカメラ店の店主・今宮と、高級カメラ「ライカ」(来夏)の名を持つ女性の
仄かな恋とカメラを巡るあたたかなミステリーに、心が優しくゆるんでいきます。

カメラに詳しくない人でもするっと読めて、読み終わる頃にはカメラのことを少し詳しくなったような、好きになったような気持ちになります。

カメラの細かいけれどわかりやすい表現もいいのですが、日常系の穏やかなストーリー(ミステリー)と、カメラおたくの今宮の朴訥な一途さと懸命な恋心に、心も涙腺も、ときにじわっと、ほろっと来てしまいます。

物語の中に走って行って、今宮に「カメラのことくらい、恋にももうちょっと積極的になれ!」「もっと食い込め!」と激励したくなってしまいます(私だけかもしれませんが)。

私は電車の中でこの本の最終話を読んでいたのですが、続きが気になって降車予定の駅で降りられずに乗り過ごし、目元を潤ませながらラストを読んでしまいました。

物語を読んでいてこういう風に感情移入してしまうくらいにキャラクター設定もしっかりしていて、文体もクセがなくとても読みやすいのも、この作品の魅力。

「優しい物語」「読みやすい物語」が好きな方にはおすすめの一冊です(巧妙なトリックや鮮やかに殺人事件を解決するような本格ミステリーではないですが、「このミステリーがすごい!」という冠にふさわしい一冊だと思います)。

下町の風情とレトロカメラ、今宮の切ない気持ちと来夏の切ない過去が織りなす、心温まる物語です。

続編「谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法」もあります。

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作者不明「落窪物語」

約千年前に書かれた、和製シンデレラストーリー。

最近のディズニープリンセスたちは、自分から幸せをつかみ取りに行くバイタリティーと行動力を兼ね備えているようですが、こちらは「待つお姫様」の王道を貫いています。

ヒロイン・落窪の姫君は、一夫多妻制の当時としては相当に珍しく、王子様(右近の少将(道頼):実在の藤原道頼がモデルとされています)に生涯ただ一人の妻として愛され、幸福な一生を送ります。

とは言え道頼に救出されるまではシンデレラ以上の受難に遭い、「古典ってこんなに刺激的で面白いの?」というくらいにハラハラドキドキの展開が。

大体シンデレラ(シンデレラはあだ名で、本名は「エラ」。暖炉掃除の最中に体が灰だらけになり、それを見たいじわるな継母が「Cinder(灰)+Ella(エラ」)と呼んだそうです)の呼び名もそうですが、落窪姫の「落窪」も相当な呼ばれようです。

美しい容姿の姫君がいじわるな継母(位の高い実の母親と死別)によって畳の落ち窪んだ部屋に住まわされていたため、こう呼ばれていました(継母は下女たちにまでこう呼ばせていました)。

美しい上に継母や異母姉妹たちより遥かに高貴な身分の落窪姫ですが、だからこそ女の嫉妬によりいじめられ、分不相応な不遇を味わいます。

ですが落窪姫には、阿漕(あこぎ)という最強のサポーターがいました。

聡明で仕事のできる彼女のおかげで、姫は後の夫となる右近の少将に見初められ、それまでの苦境をチャラにできる程の幸せを手に入れます。

落窪姫自体はおっとりしているばかりで「能動的」という要素など少なく、「自分のことなんだからもうちょっとアグレッシブになれ!」「もっと気合を入れてみろ!」とか時にイラついたりするのですが、身分制度の存在した千年も昔では今とは生活様式も考え方も当然ちがうわけで、「こう来るかぁ・・・」と焦らされる羽目になります。

現代女性の感覚で言えば落窪姫に対しては好き嫌いが分かれそうですが、落窪姫の幸せのために必死で行動する阿漕(彼女自身も物語の中で恋愛をしています)を応援したくなってしまいます。

古典という古い物語にも関わらず古臭ささを感じさせず(古典は面白いものです)、ページを追うごとにワクワクと物語の深度がシンクロしていくような作品です。

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